こんにちは、さくおです!
「SaaS業界に転職したいけど、バーティカルとホリゾンタルはどっちがいいの?」
「業界特化のほうが専門性がつきそうだけど、つぶしが効かないんじゃない?」
SaaS業界への転職を考えていると、必ずぶつかるのがこの疑問だと思います。
私は広告業界の営業から、バックオフィス領域のホリゾンタルSaaSにカスタマーサクセスとして転職して1年半が経ちました。転職活動のときはバーティカルSaaSの求人も見ていましたが、最終的に私はホリゾンタルSaaSの企業を選びました。
この記事では、実際にホリゾンタルSaaSのカスタマーサクセスとして200社を担当している立場から、実体験をもとに2つの違いを解説します。あわせて、SaaS特化の転職エージェントに面談で聞いた「現場のプロから見た違い」も紹介します。
私の経験をもとに書いているので、ぜひ転職先を選ぶときにの判断材料にしてみてください!
- 広告業界から未経験でIT企業へ転職し、現在はメガベンチャーで現役カスタマーサクセス職
- 月70時間だった残業を20時間に削減し、時間単価は1.2倍にアップ
- バックオフィス領域のホリゾンタルSaaSで、従業員100〜500名規模の顧客を担当
- 転職活動時にバーティカル・ホリゾンタル両方の求人を検討し、SaaS特化エージェントの面談も受けている
- SaaS業界への転職を考えていて、企業選びの軸が決まっていない方
- バーティカルとホリゾンタルのどちらがキャリアに有利か迷っている方
- それぞれの実際の働き方の違いを知りたい方
- 未経験からカスタマーサクセスを目指している方
結論:バーティカルとホリゾンタルに優劣はない。カスタマーサクセス業務の「性質」が合うほうを選ぶ

先に結論を書きます。年収も、市場価値も、キャリアの広がりも、一概にどちらが上とは言えないというのが、1年半働いてみた今の実感です。
ただ「同じカスタマーサクセスの仕事」かというと、そうではありません。やることの性質がはっきり違います。だから選ぶときは「どっちが有利か」ではなく、自分に合う性質はどちらかで判断するのが正解だと思っています。
💡 さくおから一言
「環境の課題解決」が好きか、「人を動かす」のが好きか。ここが一番大きな分かれ目です。
カスタマーサクセスの4フェーズで比べると、性質の違いがはっきりする
カスタマーサクセスの仕事は、大きく4つのフェーズに分かれます。このフェーズごとに並べてみると、2つのタイプの違いがかなり見えやすくなります!
| フェーズ | ホリゾンタルSaaS | バーティカルSaaS |
|---|---|---|
| オンボーディング (導入支援) |
環境の課題が中心。既存の業務フローをシステムにどう落とし込むかを設計し、活用ゴールとKPIをすり合わせる | 人+環境の課題。現場のリテラシーや業務環境をヒアリングし、導入研修や勉強会で責任者と目線を合わせる |
| アダプション (定着・活用促進) |
利用データを可視化し、数値をもとに改善を提案する | 定例MTGなどで伴走し、現場に浸透させるための勉強会や資料づくりを行う |
| エクスパンション (アップ/クロスセル) |
新機能やオプションの提案、他部門への横展開 | 導入拠点の追加提案、すでに使っている拠点への新機能提案 |
| リテンション (契約更新) |
ヘルススコア管理、利用課題に応じた施策、更新前の提案 | 導入後の成果を共有する資料づくり、現場の継続合意、経営層への継続提案 |
| ひとことで言うと | 環境課題が起点/テックタッチ寄り | 人の課題が起点/ハイタッチ寄り |
整理すると、判断軸は次の4つになります。

また「関わりたい業界があるかどうか」も判断材料の1つです。特定の業界に関心がある場合には、バーティカルSaaSを検討するのがいいと思います!
私がホリゾンタルを選んだ理由と、1年半経った今の評価
私の場合、転職活動のときにバーティカルSaaSの求人も見ていました。ただ、建築業界や医療業界など、特定の業界に自分が強くこだわる感覚がなかったんです。
それなら幅広く提案できる環境のほうが、自分の働く姿をイメージしやすいと思い、ホリゾンタルを選びました。
1年経った今、この選択は良かったと思っています。理由は、いろいろな業種の知識が自然と身につくからです。
午前中に製造業のお客様と話した後に、午後から社会福祉法人のお客様と話す。そんな日が普通にあります。最初は大変でしたが、業種をまたいで事例が溜まってくると、「この業界ではこう解決した」という引き出しを、別の業界のお客様にも応用できるようになります。
この「再現性の高い提案ができる感覚」に価値を感じられる人には、ホリゾンタルはかなり合っていると思います!
ホリゾンタルが向いている人/バーティカルが向いている人

前職で特定業界を担当していた方は、その経験がそのまま武器になるので、バーティカルは有力な選択肢になります。
💡 さくおから一言
「どちらが有利か」ではなく「どちらの大変さなら楽しめそうか」で選ぶと、入社後のギャップが少なくなります。
【体験】ホリゾンタルSaaSのカスタマーサクセスとして1年半働いて分かったこと

ここからは、ホリゾンタルSaaSのカスタマーサクセスが、実際にどんな仕事をしているのか、という話です。
担当は約200社。1日2〜3社のミーティングをどう回しているか
私が担当しているのは、従業員100〜500名規模のお客様で、その数は約200社です。
この数字を聞くと「1社にどれくらい関われるの?」と思われるかもしれません。実際、1社につき月1〜2回、30分〜1時間ほどのミーティングを行い、1日に2〜3社と話すのが基本的な動き方です。
組織としては、初期設定を担当するオンボーディング、契約更新を見るアカウントマネージャー、定着と活用促進を担うカスタマーサクセスマネージャー(CSM)の3つに分かれています。ただしCSMがつくのは契約金額の大きいお客様が中心で、8割ほどのお客様にはCSMがつきません。
つまり、初期設定が終わったあとの機能の質問対応も、活用促進の提案も、契約更新の確認と並行して自分で行うことになります。カスタマーサクセスの1日の流れについては、こちらの記事で詳しく書いています。

顧客の業界がバラバラだと、実務はこう変わる
ホリゾンタルSaaSの特徴を一言でいうと、「同じプロダクトなのに、お客様ごとに正解が違う」ということです。
いちばん実感したのが、社会福祉法人のお客様を担当したときでした。
社会福祉法人では、施設の運営形態によって勤務形態が非常に多様で、シフトの組み方もかなり複雑になります。一般的な会社のように「全員が同じ就業ルールで動く」という前提が成り立ちません。
そうなると、就業ルールにかかわる機能をその法人の運用に合わせて一つひとつカスタマイズして設定していく必要があります。設定して終わりではなく、現場の方に使ってもらい、定着させるところまでが仕事です。ここがかなり大変でした。
さらに、クラウドサービスではあるものの、すべてがシステム内で完結するわけではありません。お客様の運用によっては、他のシステムとの連携やAPIでの接続をご提案することもあります。
「クラウドを入れれば全部解決する」というイメージで入社すると、ここでギャップを感じるかもしれません。実際には、お客様の運用実態を丁寧にヒアリングして、システムの外側も含めた設計を一緒に考えることが求められます。
💡 さくおから一言
ホリゾンタルSaaSのカスタマーサクセスは、「プロダクトの説明係」ではなく「お客様の運用の翻訳者」に近いと感じています。
覚えることが多い:機能・法律・お客様の運用実態
正直に書くと、入社してしばらくは覚えることの多さに苦労しました。
覚える対象は、大きく3つあります。
- 機能:担当する製品の機能が幅広く、細かい仕様まで押さえておく必要があります
- 法律:担当する領域に関連する法律の知識が前提になります。法改正があれば追いかける必要があります
- お客様の運用実態:前述の通り、業界ごとに勤務形態も就業ルールも違います
ここが、バーティカルSaaSとの大きな違いだと思います。バーティカルなら業界知識は1つに絞られますが、ホリゾンタルは「職務は1つでも、業界の数だけ運用パターンがある」という構造になります。
ただ、この大変さは裏返すと強みにもなります。担当範囲の広い環境で経験を積んでいることは、転職市場では評価されやすい部分だと、エージェントの面談でも言われました。
SaaS特化エージェントに聞いた、バーティカルとホリゾンタルの本当の違い
ここまでは私自身の体験ですが、私が経験しているのはホリゾンタル側だけです。バーティカル側については、SaaS業界に特化した転職エージェントの面談で聞いた話を紹介します。
実際に企業の採用に関わっている立場からの話なので、ネット上の解説記事とは少し違う視点でした。
違いは「業務を絞るか、業界を絞るか」だけ
まず、両者の違いをどう整理すべきかという点です。
| ホリゾンタルSaaS | バーティカルSaaS | |
|---|---|---|
| 絞るもの | 職務(人事労務・会計など) | 業界(建設・医療など) |
| 職務範囲 | 限定的 | 横断的(営業〜バックオフィス〜経営) |
| 顧客の広がり | 業界を問わない | その業界内で完結 |
| 難易度の論点 | 既存システムからの置き換え | 現場の合意形成と定着 |
| 年収・市場価値 | 優劣なし | 優劣なし |
ホリゾンタルは業界を絞らない代わりに、扱う職務領域は限定的です。人事労務のSaaSなら、基本的に人事労務の話をします。
逆にバーティカルは業界を絞る代わりに、その業界の営業からバックオフィス、経営まで幅広く使われるプロダクトであることが多く、職務範囲は横断的になります。
つまり「どちらが広いか」ではなく、広がる方向が違うだけということです。この整理は、私自身も面談で聞いて初めてしっくりきました。
難易度は「高い・低い」ではなく、性質が違う
「バーティカルのほうが専門的で難しいのでは?」と質問したところ、返ってきたのは「一概には言えず、難易度の性質が変わる」という答えでした。
◾️ホリゾンタルSaaSの難しさ
- お客様が今使っているシステムから、どう置き換えるかという論点になりやすい
- カウンターパートが管理部門の責任者クラスになることが多く、ITリテラシーは比較的高い
- その分、既存業務との整合性やデータ移行など、システム面の難易度が上がる
◾️バーティカルSaaSの難しさ
- 業界によっては現場のITリテラシーが高くないケースがある
- アナログな業務をどうIT化するか、現場の方の合意をどう取るかが論点になる
- 導入後、実際に使ってもらい定着させるまでの難しさがある
「現状のやり方を変えたくない」という現場のバイアスを乗り越えて、担当者や意思決定者を巻き込んでいく。ここに営業的な推進力が求められるという話でした。
💡 さくおから一言
「どっちが難しいか」ではなく「どっちの難しさなら楽しめそうか」で選ぶほうが、入社後のギャップが少ないと思います。
ここまでの整理を聞けたことが、私にとっては面談を受けた一番の収穫でした。面談で聞けた内容の全体像は、こちらの記事にまとめています。

年収はどちらが高くなりやすい?

いちばん気になるのが年収だと思います。エージェントの面談でも、「どちらが優れているとか、どちらのほうが年収や市場価値が高いということではない」とはっきり言われました。単純に、業務を絞っているか業界を絞っているかの違いだからです。
つまりバーティカルかホリゾンタルかで年収が決まるわけではありません。ただ、それぞれの市場構造の違いが、年収の伸び方に影響することはあります。
市場構造の違いが年収レンジに影響する
SaaSの収益は、大まかに言えば「市場規模 × 顧客単価 × 継続率」で決まります。
ホリゾンタルSaaSは業界を問わないため、単純に狙える市場が広くなります。会社の成長スピードが速ければ、給与テーブルもそれに応じて整備されやすい面はあります。
一方でバーティカルSaaSは、市場は限定されるものの、その業界で圧倒的なシェアを取れれば単価も継続率も高くなります。業界内で「これしかない」という状態を作れたときの強さは、ホリゾンタルにはないものです。
バーティカルSaaSで年収が上がるケース
実際、バーティカルSaaSでも年収が高くなるケースはあります。
- その業界でトップシェアを取り、成長フェーズに入っている企業
- エンタープライズ企業を顧客に持ち、大型の商談を扱っている
- 業界特有の専門知識が、他社では代替できない価値になっている
逆にホリゾンタルでも、SMB中心で単価が低い領域を担当していれば、年収は伸びにくくなります。
結局、年収を決めるのは「顧客規模」と「レベル感」
ここまでを踏まえると、年収に効いてくるのは次の2つに整理できます。
- 担当する顧客規模:SMBよりミドル、ミドルよりエンタープライズのほうがレンジは上がります
- カスタマーサクセスとしてのレベル感:どこまで顧客の意思決定に踏み込めているか
バーティカルかホリゾンタルかで悩むより、「どの顧客規模を担当できるポジションか」を求人票で確認するほうが、年収には直結します。
カスタマーサクセスの年収相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。

代表的なバーティカルSaaS企業・ホリゾンタルSaaS企業

言葉の定義よりも、実際の企業名を見たほうがイメージが早いと思います。代表的なところを挙げます。
バーティカルSaaSの代表例(業界を絞る)
| 業界 | 企業・サービス |
|---|---|
| 建設 | ANDPAD(アンドパッド) |
| 医療・調剤薬局 | カケハシ |
| 介護 | エス・エム・エス(カイポケ) |
| 飲食・小売 | スマレジ/インフォマート |
| 不動産 | estie |
| 製造 | キャディ |
建設業界のANDPADや、調剤薬局のカケハシあたりは、業界内で圧倒的なポジションを築いている代表例です。物流や建設の残業規制なども追い風になり、レガシーと言われてきた業界ほどSaaS導入が進んでいます。
ホリゾンタルSaaSの代表例(職務を絞る)
| 職務領域 | 企業・サービス |
|---|---|
| 人事労務 | SmartHR/ジョブカン/オフィスステーション |
| 会計・バックオフィス | freee/マネーフォワード |
| 営業・名刺管理 | Sansan |
| 経費精算 | ラクス(楽楽精算) |
| 業務改善 | サイボウズ(kintone) |
名前を聞いたことがある企業が多いのではないでしょうか。ホリゾンタルSaaSは業界を問わない分、テレビCMなどで一般にも知られている企業が多くなります。
ちなみに私が働いているのも、ホリゾンタルSaaSの1社です。
企業規模によって、カスタマーサクセスの役割は変わる
もう1つ知っておくと良いのが、同じホリゾンタルでも企業規模によってカスタマーサクセスの動き方が変わることです。
規模の大きな会社ほど、プロダクトや機能ごとに担当が分かれる傾向があります。
逆にそこまで規模が大きくない会社では、一人のカスタマーサクセスが広い範囲を受け持つことになります。担当範囲は広くなりますが、その分の裁量も大きくなります。
求人票を見るときは、社名やタイプだけでなく「1人のカスタマーサクセスがどこまでの範囲を持つのか」を確認しておくと、入社後のギャップが減ると思います。
まとめ:迷ったら「どちらの性質が自分に合うか」で決める
バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSの違いを、転職の視点から整理してきました。
- 違いは「業界を絞るか、職務を絞るか」だけ。優劣はない
- 大きく違うのはカスタマーサクセス業務の性質。ホリゾンタルは環境課題が起点でテックタッチ寄り、バーティカルは人の課題が起点でハイタッチ寄り
- 難易度も高い・低いではなく性質が違う(システムの置き換え vs 現場の合意形成)
- 年収を決めるのは、タイプよりも担当する顧客規模とカスタマーサクセスとしてのレベル感
- 関わりたい業界があるかも判断材料の1つ。ただし日々の手触りを決めるのは性質のほう
私自身は、環境の課題を整理して仕組みで解決していくほうが性に合っていたのと、特定業界へのこだわりがなかったこともあり、ホリゾンタルを選びました。1年半経った今も、良い選択だったと思っています。いろいろな業種のお客様と関わる中で、業界をまたいで応用できる引き出しが増えていく感覚があるからです。
ただ、これはあくまで私に合っていたというだけの話です。現場の人を巻き込んで動かしていくことにやりがいを感じる方や、関わりたい業界が明確にある方なら、バーティカルのほうが間違いなく力を発揮できると思います。
💡 さくおから一言
「どっちが有利か」で選ぶと迷い続けます。「どっちの働き方なら楽しめそうか」で選ぶと、答えは意外とすぐ出ます。
もし迷ったら、両方のタイプの求人を実際に見比べてみてください。オンボーディングの進め方や、カスタマーサクセスに求められる動き方の記述を読むと、自分がどちらに惹かれるかが分かりやすくなります。
バーティカルとホリゾンタルの違いが見えたら、次は実際の企業選びです。この記事で紹介したエージェント面談の内容や、主要エージェントを比較した記事も書いているので、参考になればうれしいです。



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