こんにちは、さくおです!
「カスタマーサクセスって、ひとくちに言っても色んな役割があるらしいけど…実際どう違うの?」
「転職して配属されたら、どんな仕事を任されるんだろう?」
そんな疑問を持っていませんか?
カスタマーサクセス(CS)は、SaaS企業ではお客様との長いお付き合いを作るために欠かせない存在です。でも、実は同じカスタマーサクセスの中にも、大きく分けて オンボーディング(Onboarding)、アダプション(Adoption)、エキスパンション(Expansion) の3つの役割があります。
それぞれの役割でポジションを分けている企業も多いので、実際に転職をしたら、いずれかのポジションに配属されることになると思います。しかしそれぞれ求められるスキルや、向いている人のタイプは異なります。「なんとなくCSを目指す」よりも、「自分がどこに合いそうか」を知っておくと、転職後のミスマッチを減らせるかと思うので是非勉強しておきましょう!
私は現在アダプション担当として働いていますが、日々オンボーディングやエキスパンションの担当者とも連携を取りながら顧客対応をしているので、それぞれの役割の現場のリアルも把握しています。今回はその経験をもとに、初心者にもわかりやすく3つの役割の全体像や違いを解説していきます。
✔︎ 広告業界から未経験でIT企業へ転職し、現在はメガベンチャーで現役カスタマーサクセス職
✔︎ 月70時間だった残業を20時間に削減し、時間単価は1.2倍にアップ
- カスタマーサクセスの中でも、どんな役割でポジションが分かれているのか知りたい
- オンボーディング、アダプション、エキスパンションの違いを詳しく知りたい
- 別の職種からカスタマーサクセスへのキャリアチェンジを考えている
【比較表】CSの3つの役割と特徴
役割 |
主な業務 | 向いている人 |
---|---|---|
オンボーディング | 新規契約後のお客様への初期導入支援。 アカウント設定、操作説明、運用開始まで伴走。 |
新しい人とすぐ打ち解けられる人、説明や教えることが好きな人。 |
アダプション | 契約中のお客様の利用促進や課題解決。 活用状況を見ながら提案・改善を行う。 |
長期的な関係構築が得意な人、課題発見や分析が好きな人。 |
エキスパンション | 既存顧客への追加提案・契約拡大。 アップセル・クロスセルを通じて売上拡大を狙う。 |
提案営業が得意な人、成果数字を追うのが好きな人。 |
オンボーディング(Onboarding)とは?
役割
オンボーディングは、お客様が契約した直後からスタートします。
SaaSサービスは買って終わりではなく、「きちんと使い始めてもらえるか」が命です。たとえば、せっかく高機能なツールを導入しても、最初の設定でつまずいたり、社内に使い方が広まらなかったら、宝の持ち腐れですよね。
オンボーディング担当は、その最初の立ち上げを支える役割です。お客様の第一印象を左右する、とても重要なポジションです。
主な業務
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初回打ち合わせ(キックオフ)の実施
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アカウント作成や初期設定のサポート
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操作説明(オンライン・対面)
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導入スケジュールの作成
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初期目標の設定と進捗管理
最初の1〜2ヶ月は、お客様が最も不安を感じやすい時期です。メールやチャットでの質問対応も多く、「この人に聞けばすぐ解決する」という安心感を与えることがカギです。
主なKPI
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導入完了率:契約後、設定や初期登録などの必要ステップをすべて完了した顧客の割合
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初期利用率:契約から1ヶ月以内にログイン・利用を開始した顧客の割合
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初期成果達成率:お客様が最初に掲げた目標(例:人事システムで最初の勤怠データを登録)を達成できた割合
向いている人
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初対面でもすぐ打ち解けられる
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説明や教えることが好き
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相手の理解度に合わせて話せる
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短期間で信頼関係を作るのが得意
実際のやりとり例
お客様:「この機能、社内で全員に共有したいんですが…」
CS:「では、全員向けのマニュアルをお作りしますね!研修会もセットでやりましょうか?」
こんなふうに、ただ機能や設定方法を教えるだけでなく、お客様のゴール達成に向けて、運用定着まで伴走していきます。
お客様はITやシステムについて詳しい人は稀なため、「システム」という概念そのものがわからない担当者に対しても、一から丁寧にサポートする必要があります。担当者がシステムの使い方を理解して、設定を完了させ、運用に乗せるまでの数ヶ月〜半年程度はオンボーディングが顧客のフロントを務めます。
リアルな事例:導入初日に信頼をつかんだケース
他のメンバーが関わったお客様の中で、導入初日にちょっとした工夫で信頼を一気に勝ち取れたケースがありました。
ある人事部のチームは、ITツールが初めてで不安そうでした。そこで、マニュアルを送るだけでなく「10分でわかる動画マニュアル」を作ってお渡ししたんです。結果、「これなら社内にすぐ広まる!」と喜んでもらえ、社内展開が一気に進みました。
こういう小さな工夫が、オンボーディングの成功を左右するためには必要になってきます。
アダプション(Adoption)とは?
役割
アダプションは、契約後の継続利用と定着を支える役割です。
オンボーディングが終わったあとも、お客様が継続的に価値を感じてもらわないと、解約のリスクが高まります。たとえば、利用頻度が下がってきたら、その理由を探り、改善策を提案します。
私は現在、アダプションを担当していますが、「長期的に顧客に利用してもらえるかどうか」の手綱を握っているため、カスタマーサクセスの中でも極めて重要なポジションだと言えます。状況に応じてオンボーディングにもエキスパンションにも協力を仰いでいく必要があるため、一番ディレクション能力が試されるポジションだと感じています。
主な業務
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利用データの分析
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定期的なレビューMTG
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新機能の案内と活用促進
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課題のヒアリングと解決提案
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解約予兆の早期発見と対策
アダプションは、長期的な関係構築が得意な人に向いています。すぐに結果が見える仕事ではないですが、継続率の改善や感謝の言葉がやりがいにつながります。
主なKPI
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利用率:契約中の顧客がどの程度サービスを使っているか(例:月間ログイン率、機能利用率)
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契約更新率(リテンション率):契約期間終了後に継続してくれる割合
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ヘルススコア改善率:顧客の利用状況や満足度をスコア化し、それがどれだけ改善したか
向いている人
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長期的な信頼関係を築ける
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データ分析や課題発見が好き
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困っている人を助けるのが好き
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コツコツ改善を続けられる
実際のやりとり例
CS:「最近ログインが減ってますが、何か困っていることはありますか?」
お客様:「新しい担当者が入ったばかりで…」
CS:「では、その方への個別研修を設定しましょう!」
潜在的な顧客の課題をキャッチし、先回りして動く姿勢が、顧客の信頼につながります。
リアルな事例:利用率低下を食い止めたケース
あるお客様の利用率が、1ヶ月で20%も下がっていました。データを分析すると、新しい担当者が入社してから使い方がわからなくなっていたことが判明。すぐにその方専用の研修を実施したところ、翌月には利用率が元に戻り、さらに新機能の利用も始まりました。
アダプションは、こうした「気づきの早さ」と「迅速な対応」が命です。
エキスパンション(Expansion)とは?
役割
エキスパンションは、既存のお客様に追加の価値を提供して売上を拡大する役割です。
新規営業よりも信頼関係が築けている分、提案の成功率が高くなります。アップセル(上位プランへの移行)やクロスセル(関連サービスの提案)を通じて、顧客満足と売上の両方を伸ばします。
主な業務
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アップセル提案
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クロスセル提案
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成果事例の共有
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契約更新の条件交渉
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投資対効果の提示
この役割では、営業的なスキルとCS的な信頼構築力の両方が必要です。
主なKPI
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アップセル率:上位プランに切り替えた顧客の割合
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クロスセル率:関連サービスを追加で契約した顧客の割合
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既存顧客売上成長率:既存顧客全体からの売上がどれだけ増えたか
向いている人
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数字や成果を追うのが好き
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提案営業の経験がある
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課題を深掘りするのが得意
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成果が目に見える仕事がしたい
実際のやりとり例
CS:「この機能を追加すると、今の工数が半分になりますよ!」
お客様:「それは助かります!見積もりをもらえますか?」
顧客のニーズを言語化できる人や、成果を数字で見せられる人は、エキスパンションで輝きます。
リアルな事例:アップセル成功で売上150%アップ
既存顧客に上位プランを提案し、売上が1.5倍になったケースがあります。
ただそのメンバーは「高いプランにしませんか?」ではなく、現在の課題(手動作業が多く、時間がかかっている)を深掘りし、その解決策として上位プランを提案していました。導入後、業務時間が大幅に削減され、「次は関連サービスも検討したい」と追加相談までいただいていました。
エキスパンションは、営業的な要素が強く、成果が数字で見えるのでやりがいも大きいです。
【まとめ】CSへの理解を深めてから転職しよう!
カスタマーサクセスは一見すると、顧客対応における「なんでも屋」に見えるかもしれませんが、実際はオンボーディング・アダプション・エキスパンションという3つの専門領域に分かれています。
転職を考えるなら、「CSに向いているか」だけでなく、「CSの中でどこに向いているか」まで考えておくことが大事です。私もアダプション担当として働く中で、人によって向き不向きが全然違うことを実感しています。
もし今回の記事を読んで「もっとCSの仕事を知りたい」と思ったら、ぜひ他の記事もチェックしてみてください。理解を深めてから転職すれば、きっと納得できるキャリアが築けます!

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